ライ【完】
「俺だって嫌だよ!志穂と離れるの!!辛いよ!!それなのに勝手に否定するなよ!!」

ライの言葉にまた涙が溢れる。

「今日が来なければいいのにって何度思ったか。帰りたくないって何度思ったか志穂は知らないだろ!!それでも、そうしなきゃいけなくなった。だから志穂を最小限まで傷つけない方法を考えて…それなのに志穂はどんどん俺のせいで傷ついて…」

そう言ってライは私を強く抱き締めた。

「俺だってずっと志穂といたいよ。志穂ともう一度セッションしたいしショッピングもしたい。ご飯食べに行ったり、もう一度やり直して志穂と同じ大学に行って一緒に登校したかった。」

「ラ…イ「でもしょうがねーんだよ。こればかりは…」」

ライはそう言うと

私を抱き締める力を抜いた。

「こればかりは俺も志穂も…あのオオハシだって何もできねぇ。」

オオハシ…

あの強面の男の人。

あの人とライは一体どんな関係なのだろう。

子供のように泣きじゃくるライを見て

私は思った。

このままで本当にいいの?って

このまま別れて本当にいいの?

このままじゃ私とライ。

本当に会えなくなっちゃうよ―――。



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