ライ【完】
ただ雷太が消えただけ。

私は何も変わらない。

すぐに私の前に現れて、

『志穂!次これ合わせるぞ!』

と楽譜を渡してくるに違いない。

そう思っていたのに――――

何故か私は雷太が亡くなった日から

ベースを弾けなくなってしまった。

弾こうと思っても指が全く動かないのだ。

私は無理を言ってバンドから抜けると

ベースを一番奥の方に仕舞った。

もう私がこれを弾ける日は来ないないだろう。

そう思うと少し悲しかった。
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