ライ【完】
雷太は生きている。

そう思い続けて

私は雷太が目指していた大学に入った。

もしかしたら雷太が大学に来てるかもしれない。

そう思ったから。

軽音サークルを覗いて

雷太の姿を探した。

きっと雷太のことだ。

もう先輩たちと

セッションしてるに違いないって。

雷太を探してキョロキョロしてると

『一ノ瀬志穂!』

何故か後ろからフルネームで呼ばれた

私の名前。

雷太と同じくらいの声の低さ

今、私の名前をフルネームで知ってる人なんて

1人しかいない。

雷太かと思って振り向く。

しかし、そこにいたのは

全く知らない男の人だった。

『お前、一ノ瀬志穂だろ!』

そう言ってずいずい歩み寄ってきた

男の人。

『そ…そうですけど…誰ですか?』

『俺、佐々木蒼!志穂ちゃん軽音部入らない?』

これがあの蒼先輩との出会いだった。
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