ライ【完】
『志穂ちゃん飲みに行かない?』

私が事故に遭ったあの日。

そう誘ってきたのは蒼先輩。

どう見てもその先の勧誘が見えたので

断ろうとしたが、

『俺、今日のコンパの幹事やってて…今日来る筈だった2人ドタキャンされて…人数合わせしなきゃいけなくなったんだ。1人確保できたんだけれど、あと1人欲しいんだよ!!人助けだと思って志穂ちゃん来て!』

と付け加えて頭を下げた蒼先輩。

その目は本当に助けを求めているようで。

いつもサークルの方は断り続けてるし、

そういう理由なら今回は行こうかな。

と先輩に同情した私は

『良いですよ。』

と即座にOKした。

するとマジで!?と顔を上げた蒼先輩。

『蒼先輩以外に誰が来ますか?』

『えーっと…志穂ちゃんの知ってそうな子は……そうそう!鈴ちゃんとか来るよ!』

『じゃあ、大丈夫です。行きますね。』

そう言うとホッとした表情を見せた先輩。

『ありがとう!場所と時間は――』

と必要事項を教えてくれた。

ありがとうございますとお礼を言って

移動しようとした私に

蒼先輩は再び声をかける。

『――志穂ちゃん!それでついでに軽音―』

『入りませんよ。』

この時も断った。



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