ライ【完】
「雷太は――私に会いに来てくれたんだね。」

その質問に答えてくれる雷太は

もちろんいなくて。

それでも、私は雷太に語りかけた。

「気づかなくてごめん。会いに来てくれた雷太を私は沢山傷つけたと思う。」

墓石を拭きながら

そう雷太に謝る。

許してもらおうなんて思ってない。

それでも、私は雷太にずっと謝りたかった。

そして、報告をする。

「雷太。遅くなったけれど私、ちゃんと向き合えたよ。雷太の死と。雷太はもうここにはいないんだって。やっと受け入れることができた。」

墓石を拭き終わり、

朝、お店で買った百合の花を添えた。

「私ね、雷太が会いに来てくれたのは本当の事だと思っているよ。たとえ夢の中でも雷太は私に会いに来てくれたって。だから―――」

ジャリ―――

と後ろから誰かが近づいてくる音が聞こえた。

「あら、雷太のお友達?」

その声の主を私はよく知っていて。

私が振り向くとその人は目を見開いた。

「志―穂ちゃん――?」

「お久しぶりです――雷太のお母さん。」

そこにいたのは

3年前より少し白髪の数が増えた

雷太のお母さんだった。
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