ライ【完】
「何ですか?」

目の前に差し出された箱に見覚えはなくて。

私はその箱とお母さんの顔を交互に見た。

「雷太からよ。」

そう言われて驚きのあまりえっ!?と

大声を出す。

ヤバイ、和尚さんに怒られる。

慌てて口元を押さえた。

「雷太からって…え?何で?」

頭が追い付かない私は

混乱状態で。

そんな私を見てお母さんは楽しそうに笑った。

そして、

「そうなるのも無理はないわね。志穂ちゃん、今日お誕生日でしょ?」

と雷太のお母さんはそう私に問いかけた。

え?何で知ってるの?

私が頷くとやっぱりねと言ったお母さん。

そして次の言葉を続けた。

「――3年前の今日ね、雷太があなたに渡す筈だったものよ。」

「雷太が―――私に?」

そうよと頷いたお母さん。

でも、何で今になって…

私の表情から読み取ったのかお母さんは

理由を話してくれた。

「3年前はとても志穂ちゃんに渡せる状況じゃなかったからね。でも、今志穂ちゃんは雷太の死と向き合えてるでしょ?だから受け取って貰えないかしら。」

複雑な気持ちになった。

確かに今は雷太の死と向き合えている。

でも、そのプレゼントを貰ったら――

「言いたいことは分かるわ。でもね、私も自分が雷太のところに行くときが来るでしょ?その時にそれ渡してなかったら怒られそうだなって思ったの。「何で渡してねーんだよ!?」とか言いそうでしょ?あの子。」

そう言うお母さんに

私は不思議と納得できてしまった。




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