ライ【完】
「開けてみても良いですか?」

私がそう問いかけると

是非開けてちょうだいと

笑顔で言った雷太のお母さん。

私は箱を受けとると

箱にかけられていたリボンをほどき、

包装紙を丁寧に剥がした。

そして、箱を開けて中身をみる。

「これ―――――」

信じられなかった。

中身を手に取り、もう一度この目で確かめる。

―――間違いない。

ねぇ雷太。

貴方はこれを直接手渡すために

私に会いに来てくれたの――――?

そう思った瞬間涙が溢れ出してきた。

ねぇ、雷太。

もう一度貴方に会いたいよ。

喋りたいよ。

それでも――――

もうお礼を言うことも

会うこともできない。

「どうしたの?志穂ちゃん!?」

突然泣き出した私を見て

慌てて駆け寄るお母さん。

信じてもらえるか分からなかったけれど

私は雷太のお母さんに話した。

「雷太のお母さん――私、去年雷太と会ったんです。」

「えっ?」

「去年の秋に私、事故に遭って、数週間眠り続けていました。その時の夢の中で雷太と会ったんです。」

「そうなのね。」

「その夢のなかで雷太が最後に私にプレゼントを渡してくれたんですけれど――――――」
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