イケメン小説家は世を忍ぶ
ケント皇太子だってバレる方が、今は大問題だ。

先生……普通にこんなとこに現れて大丈夫なの?

平然とした様子だったけど、私の方がハラハラしてしまう。

今ニュースになってるケント皇太子が護衛もつけずに出歩いてるなんて……。

私の主張を無視して大杉さんと雅柚子先生は、桜井先生との対談を企画したい……なんて興奮気味に話していて……もうふたりの話についていけなくなった。

「あれだけ美形なら話題性も十分。もっと本が売れるぞ」

大杉さんは守銭奴のような発言をする。

「桜井先生って独身かしら。あ~、桜井先生と結婚したら毎日あのイケメンな顔を見れるのねえ」

雅先生は妄想に浸ってるし……。

ふたりの勝手な発言に頭痛がした。

……平和な人達。

対談なんて……出来るわけがない。

桜井先生は今……大変な時なのに……。

打合せを終え、会社に戻ってもずっと桜井先生のことを考えていた。
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