イケメン小説家は世を忍ぶ
辿々しい口調で私は伯父さんに説明する。

私のせいで……桜井先生のことが世間に知られてしまった。

彼がケント皇太子とバレるのも時間の問題だ。

どうしたらいいの?

『……そうか。……それは……ゴホッ……マズイな』

伯父さんの言葉を聞いて、罪の意識を感じた。

私がホテルで『先生』なんて言わなければこんなことにならなかったのに……。

私のせいで桜井先生が殺されるかもしれない。

先生は私を守ろうとしてくれたのに、私は彼を危険にさらしている。

「お、伯父さん、正直に答えて欲しいの。桜井先生って昨日クーデターが起こったセピオンの皇太子でしょう?」

私は確信をもって伯父さんに尋ねる。

伯父さんはずっと桜井先生の担当だったし、知っているような気がした。

『ああ。正確には前皇太子だがな。彼は私の親友の息子だよ。コンラッド三世の前の国王だったレイモンド二世は私の無二の親友だった』
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