イケメン小説家は世を忍ぶ
伯父さんはどこか悲しげな声で告げる。

『親友』という言葉で思い出した。

武内さんのデスクの中にあったあの写真。

写っていた金髪の男性は、やっぱり桜井先生の父親だったんだ。

「『前』ってことは今の皇太子は違うの?」

『処刑されたコンラッド三世にキースという息子がいるんだが、それが今の皇太子だ。だが、ケント前皇太子が生きているのだから、正統性からいうと、次の王となるべきはキース皇太子ではなく彼だ』

「……なんかややこしい話だね。そのキース皇太子と桜井先生が敵対しなきゃいいんだけど……」

『その心配はないだろう。キース皇太子はケント前皇太子を慕っていたって噂で聞いたことがある。心配なのはケント前皇太子の居場所がこれでバレるってことだ。日本にアーロン将軍が刺客を送ってくるだろう』

そして……桜井先生が殺される?

意地悪な先生だったけど、私のせいで殺されるなんて……そんなの嫌だ。
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