イケメン小説家は世を忍ぶ
思わず声を上げて足元を見れば、そこにいたのは桜井先生が可愛がっているあの子猫で……。

「あっ……この猫、なんて先生呼んでたっけ?え~と、確か……モモ?」

そう名前を呟くと、子猫はまるでにゃあ~と可愛く鳴いた。

どうやら『モモ』で合っているらしい。

「お前も先生を待ってるの?」

屈んでモモを抱き上げる。

すると、モモはまるで私の言葉がわかるかのように、にゃあ~と鳴く。

それから三十分程経っただろうか?

先生が現れる気配がなくて、再び屈んでモモを地面に下ろす。

「先生はもう戻らないのかも……」

ホッとしたような……、寂しいような……。

せめて……顔を見て謝りたかったけど、桜井先生が無事ならそれでいい。

「モモ……元気でね」

優しくモモの頭を撫でてやる。
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