イケメン小説家は世を忍ぶ
俺はその話は王を神格化させるための作り話だと思っているが、この指輪には不思議な力があるとは思っている。

そう思ったきっかけは……両親が殺された時。

七年前……父……レイモンド二世の在位二十年の記念祝賀会の最中にコンラッド三世の側近の手によりまず母が……次に父が殺され……父は死ぬ間際、俺に『朝倉さんを頼む』と言った。

城は火で覆われていて、混乱の中、朝倉さんを連れて城の外に逃げた。

その時、朝倉さんには俺を守るように包む青い光が見えていたらしい。

俺も朝倉さんも焼死してもおかしくない状態だった。

伝説が本当だとするならば、青い光は青龍のものと考えられる。

だとすれば……このサファイアの石は龍の目に見えなくもない。

非科学的なことは信じないが、先日火傷した右手ももうすっかり跡もなくなっていて、その治癒力に驚く。
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