イケメン小説家は世を忍ぶ
普通ではあり得ない。

二十歳の成人の時にこの指輪をしてからずっとこんなことが頻繁に起こっている。

セピオンがこの七年間不況なのもひょっとしたら、俺が日本に来たせいなのかもしれない。

俺が指輪に選ばれた人間かという話は別として、この指輪は本来、セピオンにあるべきものなのだ。

実は、この指輪の宝石と対になっているサファイアの石が王冠にもついている。

そう、元々指輪の宝石はふたつあった。

王が世襲制になってから指輪の石のひとつを王冠につけたらしい。

昔ならともかく今の時代、王冠なんて戴冠式や特別な儀式の時にしかかぶらないから普段王冠は城の中の宝物庫に眠っている。

もし……亡くなった父が王冠を常にかぶっていたのなら……俺のように奇跡的に助かっただろうか……?
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