イケメン小説家は世を忍ぶ
「ここにいるだろ?お前と言い争っている暇はない。早くヘリを用意しろ」

ユアンを見据え、感情を抑えた静かな声で命じる。

「殿下……」

俺の眼光に怯むユアン。

だが、隣にいたキースが俺の腕をつかんで言った。

「待って下さい。ケント様が今捕まっては、我々の計画が全部水の泡です。他の者に助けに行かせればいいじゃないですか?」

「女ひとり助けられない男が国を救えるか?」

俺はキースを威圧するように強い口調で言う。

「それは……」

キースは困惑した顔で言葉を詰まらせた。

結衣の身が心配だ。

九時までは彼女を殺さないとは思うが、何もされていないという保証はない。

「もう時間がない。俺が直接米軍の関係者に話す」
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