イケメン小説家は世を忍ぶ
こんな武装ヘリがずっとここにいたら相手も警戒する。

地上一メールのところからヘリから飛び降りると、ヘリはこの場を去り、すぐにアーロンの部下四人に取り囲まれた。

チラリとその面々の顔を見て、頬に傷のある男がいないのを確認する。

アーロンの部下達は俺の顔を見ると、ざわめいた。

口々に「本当にケント様だ」、「生きておられたのか」などと顔を見合わせながら言っている。

まあ、俺は焼失したことになっていたし、あのビデオメッセージだけでは信じられなかったのだろう。

「ええい、……うろたえるな。これは大義のためだ!」

ひとりの男が頭を振りながらそう言うと、俺の背中にライフルの銃口を向けた。

昔受けた訓練のせいだろうか?

この程度の脅し、怖くないし、すごく落ち着いている。

「お前、手が震えているぞ。間違って撃つなよ」

そんな軽口を叩くと、俺に銃口を向けている男は逆上した。
< 122 / 284 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop