イケメン小説家は世を忍ぶ
「う……煩い!」

怒った男はムキになって俺の背中に銃口を押し付けた。

単純な奴。

ここにはたいした手練れはいなそうだ。

俺ひとりで倒せる。

今、心配なのは……。

「女の子は無事だろうな?」

結衣の安否が気になって両手を上げながら確認すると、前にいた細身でグリーンアイの男が俺の目を見て小さく頷いた。

「案内します。ついてきて下さい」

まともな人間もいるらしい。

彼らの向かう先には、グレーのビジネスジェット機があった。

まあ、軍用機じゃ日本を自由に移動出来ないだろうし、ビジネスジェットの方がいろいろとカモフラージュ出来るからだろう。

結衣……どうか無事でいてくれ。

心の中で強くそう願うと、俺を案内する男に続いて飛行機のタラップをのぼった。
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