イケメン小説家は世を忍ぶ
男の問いに私は首を横に振った。

何故だか知らないけど、私……桜井先生の恋人って思われてる?

だから連れてこられたの?

「そうか。じゃあ、殿下はここには現れないか。九時までに殿下が現れなければお前を殺す。恨むなら殿下を恨めよ」

英語が得意なことは私の自慢だった。

でも、今は英語なんか勉強しなければよかったと思った。

わからない方が幸せなこともあるのだ。

桜井先生が来なければ……私は殺される?

九時までって……今何時なの?

外は暗い。ライトで明るく見える部分もあるけど……もう夜なのは間違いない。

ここにいる人達は軍服を着ているし、アーロンとかいう将軍の部下なのだろうか?

だとしたら、桜井先生がここに来るはずがない。

殺されに来るようなものだ。

この男は先生を恨めと言うが、そんなこと出来るわけがない。
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