イケメン小説家は世を忍ぶ
「お前がロリコン趣味だとアーロンに報告してやろうか、マックス?」

よく知った声が機内に響く。

英語だったけど、この人をからかうような声音……彼だ。

幻聴だと思った。

彼がここに来るはずがない。

なのに、彼は余裕の笑みを浮かべ、私の前に現れた。

嘘……本当に桜井先生?

驚愕に目を見開く私と視線が合うと、彼は微かに微笑んだ。

この状況でどうして笑えるの?

桜井先生は、後ろにいる軍人にライフルの銃口を突きつけられている。

「……本当に、ケント殿下なんだな。どうして俺の名前を……」

頬に傷のある男は呆気に取られた表情で言うと、私から離れ、桜井先生と対峙する。
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