イケメン小説家は世を忍ぶ
こんなイケメンの近くなんて余計緊張するのに……。

戸惑いながらソファに腰かけると、桜井先生は私のテーブルの前にパソコンをずらした。

「じゃあ、口述するからこのままタイプ頼む」

パソコンを覗き込むと、そこは真っ白なワードの画面。

「涼太が真奈美の着ていた服をすべて脱がすと、彼女の身体をまさぐりながら舌を這わせる。涼太の唇が真奈美の胸の先端をとらえると、彼女はあえぎ声を洩らしながら身悶え……」

先生の口述通りにタイプするが、その情景が頭に浮かんできてカーッと身体が熱くなる。

「さ、桜井先生!ま、待ってください!」

赤面しながら思いきって先生を止める。小説の内容が私には刺激が強すぎて、平常心で仕事ができない。

男性経験なんて皆無だし……。

「何?」

私は顔が赤くなってるのに、桜井先生は平然とした様子で私を横目で見た。

「このシーンあとどれくらい続きますか?」

「この後もっと凄いシーンがあるが」
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