イケメン小説家は世を忍ぶ
「俺にも優秀な部下くらいいる。その子を離せ。俺はここに来たんだ。もう用はないだろう?」

「いや、ますます手離せないな。この娘のためにわざわざやって来たんだ。それほど大事な娘なのだろう?」

マックスとかいう男はチラリと私に目をやると、再び桜井先生を見てニヤリとする。

「俺のプライドのためだ。娘を見殺しにしたなんて噂を立てられたくないんでね。それで、俺は何のためにここに呼ばれたのかな?」

ニコッと作り笑いをして、すっとぼける桜井先生。

「……人をおちょくるのもいい加減に……‼」

カッとなったマックスが桜井先生に向かってナイフを振り落とすが、桜井先生は軽い身のこなしでひょいと避ける。

「短気なのはアーロン譲りか?俺を出迎えるならそれなりの準備をしろよ。まずは腹が減った。食事を用意しろ」
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