イケメン小説家は世を忍ぶ
ソファの上は物が散乱していて、落ちている物をどけて自分のジャケットと兵士がくれたリュックを見つけると、結衣もこちらへやって来た。

リュックの中身を素早く確認し、結衣にジャケットをかけ、自分はリュックを背負う。

「私は大丈夫ですよ」

そう言って結衣はジャケットを差し出そうとするが、俺は彼女の手を止めた。

「外は寒い。その格好だと風邪を引くぞ」

俺の言葉で渋々ジャケットを羽織る結衣。

出入り口のハンドルをつかんでドアを開けようとするが、さっきの衝撃で壊れたのか上手くいかない。

何度か体当たりしたが、それでも開かなかった。

「出られないんですか?」

結衣が不安そうな顔で俺を見る。

「……他にも方法がある」
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