イケメン小説家は世を忍ぶ
どうやら足を滑らせ下に落ちたらしい。

「結衣?大丈夫か?」

声をかけながら機体から飛び降りると、結衣は尻餅をついたのか痛そうに顔をしかめていた。

「お尻……思い切りうちましたあ」

「ドジ。ほら、行くぞ」

結衣の手を取って立ち上がらせると、空を見上げた。

月が出ている。

これならライトなしで歩けるな。

「行くって……どこへ?」

「とりあえず、機体から離れないと」

それしか今は言えなかった。

腕時計に目をやれば、午前十時を回っている。

但し、これは日本時間だ。

日本の方がセピオンより七時間進んでいるから……今は午前三時。
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