イケメン小説家は世を忍ぶ
「……先に行ってて下さい。少し休んでから行きます」

結衣は俺に向かってニコッと笑うが、その笑顔がぎこちない。

この顔……痛みを堪えてるって顔だ。

どこか痛いんだな。

「お前ってどうでもいいことはすぐ文句言うのに、肝心なことは隠すんだな。足が痛いんだろ?」

「……痛くなんかありません。ちょっと疲れただけです!」

図星を指されて気まずくなったのか、結衣は俺から視線を逸らそうとする。

「俺の目を見て言ってみろ。目を逸らして言っても説得力ないぞ」

屈んで結衣の右足掴み、パンプスを脱がせて俺の膝に乗せる。

「ちょ……大丈夫で……‼」

俺の行動に驚いた結衣が慌てて足を引っ込めようとするが、俺は彼女の足を離さなかった。
「マメが潰れて血が出てる。相当痛かったろ?」
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