イケメン小説家は世を忍ぶ
10、王子様に翻弄される
チュン、チュン……。

小鳥のさえずりで目を覚ます。

「う……ん」

なんて優雅で贅沢な目覚まし……なんて目をしばたきながら思ったけど、「おはよう」と甘い声で言うケントと目が合って……。

「ぎゃー!」と奇声を上げ、大きく仰け反り勢い余ってバランスを崩した。

「何だ、その反応?俺は化け物か」

ケントが不満そうに口を歪めながら、私の腕をすかさずつかんで引き戻す。

「な、な、何で……ケントと寝てるの~?」

動揺せずにはいられない。

ひとりあたふたしていると、ケントがそんな私を見てニヤリ。

「朝から何寝ぼけてる?抱き合って眠っただろ?」

ケントの解答に、顔がボッと火がついたように熱くなった。

『抱き合って』って……恋人じゃないんだから。
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