イケメン小説家は世を忍ぶ
ケントとのキスを反芻していた私は、ハッと我に返った。

「……わ、私も手伝います」

ケントの側に駆け寄ると、なぜかクスッと彼に笑われた。

「何で声が上ずってる?ひょっとして、さっきのキスで動揺してるとか?」

図星を指されてギクッとするも、すぐに否定する。

「してません。キスぐらいしたことあります!」

幼稚園の時だったけど……キスは、キスだ。

でも……そんな話したら笑われそう。

「へえ、てっきりあの反応は初めてかと思った」

ケントは私が動揺してるのを見透かしたように微かに笑った。

これ以上、キスの話題に触れられたくなくて、私は強引に話題を変える。

「そ……その緑の袋はなんですか?」

またからかわれるかと思ったけど、ケントは突っ込んでくることはなかった。
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