イケメン小説家は世を忍ぶ
「加熱用のヒーター。水を少し入れると熱くなって、この中にレトルトパックを入れて温める」

ケントは私に説明しながら実践してみせる。

この迷いのない手つき……。

「慣れてるんですね」

「軍にいたこともあるからな」

さらっと驚くことを言われ、ケントの顔をガン見する。

「……王子様も軍に入るんですか?」

「ヨーロッパでは珍しくない」

当然にように言われ、面食らった。

王族はお城の中でずっと守られているって勝手に思い込んでたけど、実際は違うのか。

飛行機だって操縦しちゃうくらいだもん。

他にもいろいろ経験してるんだろうな。

「王子様って……ニッコリ笑うのがお仕事かと思った。意外に苦労してるんですね。ケントって……二十八くらいに見えますけど、実は四十代とか……?」

思い切って年齢を聞いてみる。
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