イケメン小説家は世を忍ぶ
私はケントの目を見てコクコク頷く。

何かがいるの?

問いかけるようにケントを見るが、彼は野生の獣のような鋭い眼で正面を見据えていて……。

ヤバイ状況なんだと思った。

私も耳をそばだて、周囲に注意深く目をやると、五メートル程先に茂みからガサガサッと音がした。

ビクビクしながらケントの腕を掴むが、その音は断続的に続く。

動物ではない。

だって……話し声がした。

どうするの?

ケントに目をやれば、彼は険しい表情でその茂みを見ている。

ひとり大柄な男が出てきたと思ったら、それは頬に傷があるマックスで……。

うそ……。

驚いた私はバランスを崩し足元にあった枝をバキッと折ってしまった。

あっ……。
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