イケメン小説家は世を忍ぶ
“ごめんなさい”の意味を込めてケントを見ると、彼は私の腰に手を回し、“仕方がないな”って顔で苦笑する。

私達を見てマックスが後ろを振り返りながら叫ぶが、セピオンの言語なのか私にはよく聞き取れない。

恐らく“見つけた”とか言っているのだろう。

マックスは私達に視線を戻し、残忍な言葉を英語で言い放った。

「飛行機の墜落で死んでれば楽に死ねたものを」

「俺は悪運が強いんだ。殺しても死なないさ」

ケントは落ち着いた様子で返す。

すると、眼帯をした茶髪の男がマックスの後ろから現れた。

男は軍人にしては髪が長く、後ろで髪を束ねている。

でも……その顔は見覚えがあった。

どこで見たのだろう……と考えていると、眼帯の男が私をチラリと見て英語で言った。

「よお、坊主。やっぱり生きてたな。可愛い姫さんまで連れていい身分じゃねえか」

眼帯の男は、ケントを見据えると不敵に笑った。
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