イケメン小説家は世を忍ぶ
「待て。このお嬢ちゃんは歩けない。彼女は俺が運ぶから縛るなよ」

「お前……この期に及んで何勝手なことを」

カッとなったマックスが、ライフルを振り上げてケントに襲いかかる。

“危ない!”

私は咄嗟に目を閉じた。

だが、ケントが痛がる声も聞こえず、恐る恐る目を開けると、ライフルは彼の頭の数センチ上で止まっていた。

ケントは微動だにせず、ただマックスを威圧するような視線を投げる。

その時、アーロン将軍が叫んだ。

「マックス、止めろ!どうせ逃げられないんだ。好きなようにさせておけ!」

マックスは悔しそうに歯軋りすると、渋々といった態度でライフルを下ろした。

「お前のボスは話がわかるな」
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