イケメン小説家は世を忍ぶ
入り口の十メートル先にある階段を三階まで上ると、アーロン将軍は突き当たりにある部屋のドアを足で蹴飛ばして開けた。

「しばらくここにいろ」

アーロン将軍はケントの背中を乱暴に押す。

私もマックスに銃口を向けられながら部屋の中に入るが、撃たれるんじゃないかと冷や冷やした。

ジェイクが私とケントを床に寝かせ、手足をロープで縛ると、アーロン将軍達は部屋を出る。

すると、私とケントをこの部屋に残して、ガチャッと鍵が閉まる音がした。

十二畳くらいの部屋はコンクリートの打ちっぱなしで、部屋の中には家具も空調もない。

窓がひとつあるが、かなり高い位置にあって背の高いケントが立っても届かないだろう。

「手足は痛くないか?」

ケントがモゾモゾ動いて気遣わしげに私に声をかける。
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