イケメン小説家は世を忍ぶ
何なの?

その豹のような軽い身のこなし。

私が呆気に取られている間に、ケントは窓を少し開けて外の様子を確認する。

「階段も足場もない。助けを待つしかないか」

少し残念そうに呟くと、ケントは窓を閉めて床に音も立てずに飛び降りた。

まるで忍者だ。

「助けって……来るんですか?」

「そろそろ俺の部下が近くに来てると思う」

「じゃあ、私達助かるんですね?」

希望が見えてきて気持ちがいくぶん軽くなったが、次のケントの言葉を聞いて恐怖に襲われた。

「但し、アーロンもそれは想定してるだろう。俺達をすぐに殺さないのは、俺の仲間を殲滅したいからだ。部下が助けにくれば、ここで戦闘ってことになるだろうな」

戦闘……。
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