イケメン小説家は世を忍ぶ
……そう言えば、先生の家のリビングにお城の絵が飾ってあった。

確かにあのブルーローズ、素敵だったな。

「見れたらいいな」

フフっと笑って見せると、ケントに怖い顔で頭を叩かれた。

「いたっ!」

「バーカ、見れたらじゃなくて、見るんだよ」

「叩かないで下さいよ!それでも王子ですか!」

叩かれた頭を押さえて文句を言うと、ケントは急に真摯な目で告げた。

「絶対に見せてやる。約束する」

ジーンと胸に響くケントの言葉。

それは、今の私にとって一番の希望の光に思えた。

彼にからかわれながらセピオンを案内されるのも悪くはない。

いや、むしろ楽しいかも。

「絶対ですからね?」

「ああ。約束は必ず守る。小説の原稿だって仕上げて朝倉さんに渡したしな」
< 192 / 284 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop