イケメン小説家は世を忍ぶ
「何が『守る』だ?」

自嘲するように呟いて、結衣の額の汗を拭う。

後悔と無力さに襲われる。

早く回復するよう手を組んで祈るが、その時、左手の指輪が目に入った。

それを見てある考えが頭に浮かぶ。

「……この指輪の力があれば、結衣を治せるんじゃないだろうか?」

一縷の望をかけ、指輪を外そうと試みる。

すると、サイズが大きいのではないかと思うくらいあっさり指輪は抜けた。

「……嘘だろ?」

何度外そうとしても抜けなかったのに……。

俺は驚いて目を見張る。

結衣の左手をつかんで彼女の薬指に指輪をはめると、あつらえたようにピッタリと指にフィットし、ピカッと青い光を放った。
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