イケメン小説家は世を忍ぶ
いつもの私なら目を閉じて神に祈るくらいしか出来なかったはずだ。

意地悪な王子様だけど、彼が死ぬのは嫌。

私をからかうその声。俺様でいつも余裕顔で……ムカつく。

でも、今は……そんな彼の側にいるのが楽しい。

私……ケントが好きなんだ。

彼の寝顔を見つめながら、自分の想いを自覚する。

手を伸ばしてケントの髪にそっと触れると、彼の頭を撫でた。

彼の寝顔を見るのはこれで2回目だ。

最初は山で野宿した時。

でも、あの時はケントの腕の中にいてドキドキしてしまって、こんなにじっくり見る余裕なんてなかった。

男性なのにまつげも長くて……肌も綺麗。

こんな風にケントとふたりでいることももうないのかもしれない。
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