イケメン小説家は世を忍ぶ
セピオンが落ち着けば、ケントは多分ここにそのまま残り、私は日本に帰る。

ふと、ライフルで撃たれた痕が気になって、恐る恐る右肩に触れてみた。

「……あれっ?」

てっきりガーゼがいっぱい当てられてるかと思ってたけど、絆創膏のような薄いテープが貼ってあるだけ。

そこに触れても全然痛くない。

「……どうして?」

思わず声を上げてしまったからか、ケントが目を擦りながら起きた。

「……起きてたのか?」

「あっ……。起こしちゃってごめんなさい。ついさっき起きたとこ……‼︎」

言い終わらないうちに、ケントがコツンと自分の額を私のおでこに当てた。

急に彼の顔が近づいてドキッとする。

いつものようにからかう様子はなくて、ケントの顔は真剣だ。
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