イケメン小説家は世を忍ぶ
「……熱は下がったみたいだな」

ホッと安堵した表情でケントは私から離れる。

「あの……私……一体……?」

「銃でお前が撃たれた後、ヘリで脱出して俺の従弟の別荘に身を隠していたんだが、それは覚えているか?」

ケントの従弟の別荘?それがここ?

「ヘリまでは何となく……」

私は苦笑しながら答える。

「じゃあ、昨日城に移動したのは?」

ケントの思いがけない言葉に目を丸くする。

ここはケントの従弟の別荘じゃないの?

「『城』って……。本当にここお城なんですか?」

自分がお城の中で寝ていたなんて信じられなくて、ケントに聞き返した。

「そう。ミケール城。俺が育った場所だ。で、ここが俺の部屋。七年間使われてなかったから、少し埃っぽいがな」
< 220 / 284 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop