イケメン小説家は世を忍ぶ
ケントの手を外して抵抗すると、彼は笑った。

「何を今更恥ずかしがっている?もう両手では数えきれないくらい見てるぞ」

「うそ……」

「熱でうなされてたから覚えてないのか?怪我の手当てもしたし、身体だって拭いてやったのにな」

ケントがわざと残念そうに言う。

彼の説明でその記憶がよみがえった。

言われてみれば……「消毒するからじっとしてろ」とか「身体を拭くから仰向けになれ」とか言われてパジャマ脱がされた~。

サーッと自分の顔から血の気が引いていく。

「ああ~、嘘~、裸見られた~‼︎」

動揺せずにはいられない。

顔を両手で覆いながらひとり騒いでいると、ケントに怒られた。
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