イケメン小説家は世を忍ぶ
「そんな馬鹿なことが起こることもある。お前……どうしてすぐに逃げなかった?」
責めるような口調でケントは、銃撃戦の時の話を持ち出してきた。
「……どうしてって……マックスがケントをライフルで狙ってたから……気づいたら身体が動いて……」
言葉に詰まりながら説明すると、ケントは私を振り向かせて、私の両肩を掴んだ。
「死んでたかもしれないんだぞ!頼むからもっと命を大切にしてくれ」
注意するというよりは、私に懇願するようにケントは悲痛な顔で言う。
こんなに取り乱した彼を見るのは初めてだった。
「……ごめんなさい」
ケントの顔を呆然と見ながら呟く。
それしか言えなかった。
「……もう心配させるな」