イケメン小説家は世を忍ぶ
ケントは熱い目で私を見つめる。

その視線から目を逸らそうとしても出来なかった。

周りの空気までもが熱を帯びてきたかと思ったら、ケントが私の頬を両手包み込むように触れて……私に口付けた。

ケントの温かい唇が押し当てられ、それを受け入れるように私は彼の胸に手を当て目を閉じた。

王子様だから好きになっちゃいけないってことはわかっていたはずなのに……。

でも……自分もケントにキスして欲しかったんだ。

キスは次第に深みを増していき、ケントは私の首筋や私の胸元にキスの雨を降らせる。

胸元に置いた私の両手を掴むと、彼は一度私の顔を見た。

「結衣が欲しい」

迷いはなかった。私もケントが欲しかった。
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