イケメン小説家は世を忍ぶ
私がコクリ頷くと、ケントは私の身体をベッドに押し倒し、自分のシャツを脱ぐと私に覆い被さってきた。

「初めてだよな?」

「大丈夫」

ケントの問いにムキになって答えると、ここで止めて欲しくなくて彼の首に手を巻きつけた。

可愛くない女だって思われたかもしれない。

でも、心臓はバクバクしてるし、経験のない私にはこういう時どうしていいかもわからない。

「意地っ張りだな。だが、そんなところが好きなのかも……」

自虐的に呟きながら、ケントは再び私に唇を重ねる。

聞き間違いかと思った。

ケントに『好き』って言われて嬉しくなる自分はなんて単純なんだろう。

それが、食べ物の好きと同じように彼に深い意味はなかったとしても、今の自分には十分過ぎる言葉で……。
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