イケメン小説家は世を忍ぶ
ヘリの中でジェイクに結衣の怪我の処置の判断を仰がれた時、すぐには答えられなかった。

俺の判断で結衣を死なせてしまうのが怖かったんだ。

それくらい彼女が自分にとって大事な存在になっていた。

出会って10日も経っていないのにな。

今まで女に対して強い感情を持ったことはなかった。

自分の容姿や出自のせいで、嫌でも女は寄ってくる。

そういう女は、化粧だけはいつも綺麗で洗練された女に見せてはいるが、打算的で、貪欲で……。

俺はいつも冷めた目で女を見ていた。

結衣のように俺のために銃の前に飛び出す女なんていなかったんだ。

だから、日本に来てからは、女との接触はなるだけ控えていた。
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