イケメン小説家は世を忍ぶ
「そういうケント様だって。結衣さんの具合はどうですか?今日もあまり寝てないみたいですけど」

「熱も下がったし、もう大丈夫だ」

傷跡もほとんどないし、もう心配はいらない。

俺は、キースに向かってニコッと笑って見せた。

「良かった。やはりあの指輪の力は本物ですね。最初にケント様から『指輪を結衣に譲った』って言われても信じられませんでしたけど」

俺のセリフを聞いて、キースの表情が明るくなる。

「そうだな。指輪がなかったら危なかったかもしれない」

考えるだけでゾッとする。

結衣が死んでいたら……俺は悲嘆に暮れていたかもしれない。

彼女を失わなくて本当に良かった。

「これでやっと安眠出来ますね。アーロン将軍のことがあったとはいえ、あんな余裕のないケント様見たことありませんでしたよ」
< 235 / 284 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop