イケメン小説家は世を忍ぶ
考えてみたら、誘拐されて飛行機に乗せられたからパスポートも持っていない。

セピオンの空港だって今使えるかどうか……。

ここを出たらどこにも行く場所なんてないのだ。

「私が飛行機を用意してあげる。王女の私が許可するんだもの。セピオンを出るのにパスポートなんていらないわよ」

いざ出国という話になると、躊躇してしまう自分がいる。

「でも……」

「グズグズしてたら、明日になるわ。あなたがいるとケント様は気になって政務に集中出来ないの。自分を庇って怪我した女が側にいれば、責任を感じるでしょう?わかるわよね?セピオンやケント様のためを思うなら、一刻も早く日本に帰って」
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