イケメン小説家は世を忍ぶ
「私……私が悪いんじゃないわ。アーロン将軍が空港に行くなんて……知らなかったんだのもの」

「セシリア、落ち着くんだ。何の話をしているんだ?」

席を立ってセシリアの元に行き、彼女の肩に優しく手を置く。

だが、彼女は俺から視線を逸らす。

「セシリア?」

俺がもう一度問い掛けると、セシリアは震える声で言った。

「……あの人を……空港に……向か……わせたの。飛行機に乗せて……日本に帰らせようと思って……」

『あの人』と聞いて、パッと結衣の顔が浮かんだ。

「結衣を空港に向かわせたのか?」

セシリアの肩を掴んで確認すると、彼女は声を荒げて認めた。

「そうよ。だって……ケント様の邪魔になると思ったのよ!」
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