イケメン小説家は世を忍ぶ
心の中で必死に祈る。

出来ればすぐに結衣の元に駆けつけたかった。

空港まではどんなに飛ばしても車で十五分はかかる。

もう血だらけの彼女を見るのは嫌だった。

俺がやった指輪をしているが、結衣の無事を保証出来るものではない。

マックスと鉢合わせしなければいいのだが……。

じっと前を見据え、結衣の無事を祈っていると、助手席にいるジェイクが無線で部下と連絡を取りながら俺の方に目を向けた。

「ケント様、どうやらマックスが結衣様の乗った飛行機をハイジャックした模様です」

「飛行機は飛び立ったのか?」

飛び立ってしまったら結衣を助けるのが難しくなる。
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