イケメン小説家は世を忍ぶ
そんな彼女の顔がみるみるうちにトマトみたいに真っ赤になって、こいつは男性に慣れてないんだとすぐに悟った。

朝倉結衣と名乗る彼女をシャワーを邪魔されたこともあり意地悪くからかうと、面白いほど過剰に反応。

「……こんな小さなお嬢ちゃん寄越されても困るんだが」

故意に迷惑そうに呟けば、結衣はキッと俺を睨み付ける。

「お嬢ちゃんじゃありません!二十二歳の大人です!」

ムキになって否定し、バッグから免許証を取り出して俺に見せる結衣。

どうやら顔が童顔なのを気にしているらしい。

「ふーん、本当らしいな。これは失礼」

もっと紳士的に振る舞うことも出来たが、長い隠遁生活で退屈していたせいか、つい大人気ないことをしてしまった。

朝倉さんの姪ということで結衣を家に上げ、試しに口述タイプをやらせてみる。

官能的な描写を口にしたのはわざとだ。

それを聞いて動揺する彼女。

もし、これを聞いてるのが朝倉さんなら「何をふざけてるんだね?」って言うだろう。
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