イケメン小説家は世を忍ぶ
俺はユアンの言葉を遮る。

“待っている”と言いたいのだ。だが、最後までは言わせない。その言葉はいい加減聞きあきた。

「今日の夕飯は炊き込みご飯らしい。お前も食べて行かないか?」

強引に話題を変え、ユアンの話を終わらせる。

「遠慮します」

睨み付けるようにユアンは俺を見据える。

「それは残念だな」

クスリと笑ってモモを抱いたまま椅子から立ち上がると、ユアンを残したまま家の中に入る。

リビングの城の絵の前に立つと、俺は自嘲するように苦く呟いた。

「俺に期待なんかするな。俺はもう……死んだ人間だ」
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