イケメン小説家は世を忍ぶ
『……はい?』

不機嫌そうな声に感じたのはスピーカーの音質のせいだろうか?

「……あ、あのう、朝倉出版の者ですが……」

つっかえながらそう答えると、『……ああ、今開ける』ってぶっきらぼうな声がして、玄関のロックが解除される音がした。

玄関口まで行くとダークグリーンの重厚な扉が開いて、中に入れば目の前には上半身裸のイケメンの姿。

「ギャッ」

驚きの声を上げ、目を丸くする私。

目の前の男性はシャワーを浴びていたのかまだ肌は少し濡れていて、髪からも雫が滴ってる。

歳は二十七くらい。身長は百八十二、三センチはありそうだ。

目鼻立ちがはっきりしていて、シルバーフレームの眼鏡をかけているけど、端整な顔立ちをしているのはわかる。

ライトブラウンの綺麗な瞳に、アッシュブラウンの髪は、ハーフかクォーターっぽい感じ。

水も滴るいい男……いや、これは極上の男でしょう?

これは男に免疫のない私にとっては目の毒だ。
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