イケメン小説家は世を忍ぶ
5、決意 ー 桜井建(ケント)side
結衣を残してリビングを出ると、ズボンのポケットに入れておいたスマホが鳴った。

スマホを取り出して画面を見れば、ユアンからの電話。

出たい気分じゃないが、こいつなら俺が出るまでかけ続けるだろう。

「何だ?」

画面を操作しムスッとしながら電話に出ると、二階に上がってすぐの書斎に入った。

書斎の奥にある窓をガラガラッと開けてベランダに出る。

『ニュース観ましたか?私の予想より早くアーロンが動きました。これでも関係ないって言うおつもりですか?』

いつもの責めるような口調でユアンが言う。

「じゃあ聞くが、今俺がセピオンに戻って何が出来る?軍とどうやって戦う?」

アーロンのことはよく知っている。

一年ほど軍に入隊した経験があり、その時の教官が彼だった。

入隊したのは……まあ言ってみれば我が家の伝統で、父も若い頃は入隊して紛争地域に赴いたことがある。
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