イケメン小説家は世を忍ぶ
「ニュースでは報道してなかったが、今回のクーデター、国王以外にも死人は出たんだろ?これ以上、犠牲者を出したくない。今、アーロンを倒したところで、第二、第三のアーロンが現れるさ」

『ずいぶん弱気ですね』

ユアンが冷ややかな声で俺を皮肉る。

「お前にどう思われようが構わない」

俺はもう自分の目の前で死ぬ人達を見たくないだけだ。

ユアン、お前はわかっていない。

武力で解決したって、死者が出れば民衆の心は手に入らない。

『どうやらあなたはずっと日本にいて腑抜けになったようだ』

ユアンの人を侮蔑するような言葉に、俺はフッと鼻で笑ってみせた。

「今頃気づいたのか?俺の先生だったくせに遅すぎだろ」

からかうような口調で言うと、ユアンは残念そうに呟いた。

『昔、あなたはとても優秀な生徒だったのに……。ガッカリですよ』

「死んだことになってる人間に期待するだけ無駄だね」

ユアンを嘲笑うと、こいつは俺にはキツい言葉を投げた。
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